糖尿病には「不摂生な生活をしているからだ」「太った人がなる病気だ」といった誤った認識やイメージが伴いがちです。そのため「糖尿病になった」と診断されると「食事制限で辛い思いをする」「ダイエットをしなければならない」といった悲観的なとらえ方をしてしまう人が少なくありません。そこで糖尿病をなぜ治療しなければならないのか、また具体的な治療方法について詳しくご紹介します。
なぜ糖尿病は治療が必要なのか
糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれています。糖尿病は自覚症状がなく、知らないうちに症状が進み、合併症が起きてから糖尿病と診断されることが多いためです。実は糖尿病と判断される人は、何年も前から、糖尿病予備軍の兆候があることが近年明らかになっています。日本人は欧米の人などに比べ、インスリンの分泌が少ないこともあり、糖尿病になりやすいことが挙げられます。そういったことから、血液中のブドウ糖の濃度が高くなる高血糖の状態になりやすいのです。さらに高血糖の状態を放置し続けることで糖尿病になってしまいます。さらに糖尿病で恐ろしいのは合併症を併発することです。目や神経、腎臓の病気を起こすだけでなく、血管の病気である心筋梗塞や脳卒中のリスクも高くなってしまうのです。そのため、糖尿病は早めに発見し治療することが必要です。
糖尿病は一生付き合う必要のある病気
糖尿病は一度なってしまうと完全に治すことはできません。そのため、糖尿病と診断された人は「一生この病気と付き合って治療しなければいけないのか」「インスリン注射をしないと駄目なのか」と思い込む方も少なくありません。確かに糖尿病は治すことはできませんが、治療の目的は「完全に治す」ことではなく「治療をしながら健康な人と同じように生活する」ことです。もちろん食生活の偏りや運動不足といった要因もありますが、それ以外の原因で糖尿病になる人もいます。あくまでも糖尿病の治療は糖尿病が引き起こす合併症を防ぐことが目的なので、過度に不安になる必要はありません。
糖尿病の治療について
糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。それぞれ糖尿病となる原因が異なるため、治療方法にも違いがあります。どういった治療が必要なのか詳しく見ていきましょう。
1型糖尿病の治療方法
1型糖尿病は、膵臓から分泌されるはずのインスリンが十分でなく、分泌低下の状態が続くことでかかります。膵臓の機能自体が正常に働かないため、外部からインスリンを補う必要があります。これが糖尿病の治療でよく知られている「インスリン注射」です。インスリン注射は、健康な状態であれば1日に分泌される「基礎分泌」と食事をしたときに分泌される「追加分泌」を補うため2種類のインスリン注射を毎日する必要があります。
2型糖尿病の治療法
遺伝的な要因と生活上の要因など様々な要因が組み合わさることでなる2型糖尿病の治療方法は、基本的には「血糖値のコントロール」と「合併症を防ぐ」ことがメインです。そのため食事療法や運動療法、生活習慣の改善などから始めます。これに薬での血糖値コントロールを含めて治療をすることになります。薬は現在の状態に合わせて様々なものがあります。インスリンの分泌が少ないのか、またインスリンは分泌されているが十分に働いていないのか、またインスリンは分泌されているが糖が正常に分解や吸収をされていないといったこともあるため、検査での数値を見ながら薬を調整することも行われます。
インスリン注射は糖尿病の人全員が必要なわけではない
糖尿病になると「インスリン注射をしないといけない」といった誤解をされがちですが、インスリン注射が必須となる1型糖尿病と違い、2型糖尿病の場合は治療が進めばインスリン注射が不要になることもあります。長期間の治療とはなりますが、食事や運動に注意をすることで健康な人とほぼ変わらず生活ができる可能性があるということを忘れないようにしましょう。