生活習慣病の一つで、日本人に多いとされる糖尿病。中年男性に多いイメージがありますが、若い世代ややせている女性にも患者が増えてきています。糖尿病は、早期に発見し食事・運動療法で健康な人と変わらない生活が可能です。そこで糖尿病を発見するためにはどういった検査を受けるべきなのか、詳しくご紹介します。

糖尿病は突然発症する病気ではない

糖尿病は自覚症状がなく静かに進行していくことから「サイレントキラー」とも呼ばれます。また血管に様々な障害が発生し、血管に関する合併症を引き起こすことから血管病とも呼ばれています。他の病気と違い原因がはっきりしていないこと、また自覚症状が出てからだとかなり症状が進行していることも多いことから、日常生活での予防と検査による早期発見が不可欠です。また自覚していなくても他のことで糖尿病が分かることもあります。糖尿病予備軍も含めると、日本人の5人に1人は糖尿病だといわれています。他人事と思わず、積極的に検査を受ける必要があります。

糖尿病が発見される5つのきっかけ

糖尿病は以下のようなきっかけで発見されることがほとんどです。

1.健康診断

糖尿病が発見されるきっかけで、一番多いのが健康診断です。病院では血液検査や尿検査をしますが、この時に血糖値(血液中に含まれる糖)と尿に出ている糖で糖尿病かどうかを判断します。ただし多くの場合は「糖尿病の疑い」で再検査が必要です。血糖値の変動が大きな手がかりとなるため、健康診断の結果だけで糖尿病と判断されることはほぼありません。検査後1ヶ月以内に再検査をし、血糖値の変動から判断されます。ただ、健康診断時に血液と尿どちらの数値も高かった場合、当日に糖尿病と判断されることもあります。この場合は糖尿病がかなり進行している状態です。

2.献血

献血の前にする血液検査で糖尿病が分かることがあります。血液中に流れているアルブミンに糖がついてグリコアルブミンとなります。この割合が高いほど糖尿病の疑いがあると診断されます。

3.高血糖の症状がある

高血糖の症状が出て糖尿病と診断される人もいます。高血糖の症状としては、

  • のどの渇き
  • トイレの回数が多い
  • 体重が急に減る
  • 疲れやすくなった

などがあり、別の病気を疑って診察を受けて糖尿病と分かる人もいます。ただしこういった症状がなく糖尿病と分かる人も多くいます。

4.合併症で糖尿病と診断される

糖尿病は病気そのものよりも、合併症のほうが深刻です。特に多いのが目、腎臓、神経などに影響を及ぼす合併症です。ただしこれらは慢性合併症といわれ、糖尿病になったからすぐに影響が出るわけではありません。むしろ急性の合併症のほうが命に関わることがあります。血糖値が急激に上昇し、昏倒、意識障害に陥り、診断して糖尿病だと分かります。インスリンが正常に働かず血糖値が下がらないことが原因ですが、清涼飲料水の飲み過ぎで急性合併症を引き起こすこともあります。

5.妊娠時の検査で高血糖と診断される

糖尿病であることに気がつかず、妊娠後に糖尿病が分かることもあります。妊娠すると血糖値が上がりやすくなるのですが、元々インスリンの分泌が少ないといった体質の人は妊娠をきっかけに糖尿病になることがあります。

糖尿病の診断はいくつかの検査を組み合わせて判断される

糖尿病が疑われる場合(両親に糖尿病患者がいる場合など)には、血液検査を行います。この検査には、食事の時間をある程度空けてから採血して見る「空腹時血糖値」、ブドウ糖を水にとかしたものを飲み、その後血糖値がどう変化するかを調べる「75g経口ブドウ糖負荷試験」、これに加えて、普段通りの生活をして採血して見る「随時血糖値」の3つで診断します。健康診断の場合は「空腹時血糖値」だけを見ますので、尿検査で糖が出ている場合、2つの数値が高くても「75g経口ブドウ糖負荷試験」や「随時血糖値」も行ってから診断します。