食事をしていても味が感じられないと、美味しくないばかりではなく食事をする気にならないなど、様々な問題が生じます。ただ、味覚障害には様々な要因が考えられ、糖尿病の合併症の一つでもあります。そこで味覚障害が引き起こす問題と共に、糖尿病や他に考えられる原因を詳しくご紹介します。

味覚障害の症状と原因・診断方法

味覚障害とは、何らかの原因により味を感じるための機能が正常に働かないことをいいます。通常、舌の表面にある乳頭と呼ばれる細かなブツブツの中にある味蕾の中に味を感じる味細胞があり、そのセンサーによって味を感じることが可能となっています。さらに食べ物の固さなどの触覚、咀嚼する時の音、また視覚による見た目、これらが組み合わさってはじめて、食事が「美味しい」と感じられるのです。

味覚障害の症状

味覚障害の症状は味がよく分からないといった症状だけでなく、全く味が感じられない、何も食べていないのに苦みや渋みを感じたり、塩味など特定の味が判別できなくなったり、知っている味と違うと感じられたりと様々な症状が起きます。また味覚障害が起きていてもそれに気がつかず、料理の味付けがおかしくなったり、塩や砂糖などの使用量が急激に増えたりして、家族に指摘されて初めて分かるということが多くあります。

味覚障害の原因

味覚障害の原因としては以下のことが考えられます。

加齢によるもの

舌にある味蕾の数が加齢によって減少することが、一番大きな原因とされています。また「美味しい」と感じる五感の機能も低下するため、味覚障害が起きます。

亜鉛不足によるもの

味覚障害は高齢者だけでなく、若い人の間でも増えています。その原因として考えられるのが亜鉛不足です。偏った食事やストレスで亜鉛が不足すると、新陳代謝が正常に行われず味蕾が正常に働かなくなってしまいます。また亜鉛の吸収に必要となるビタミンの摂取不足も味覚障害の原因となります。

嗅覚の機能低下によるもの

加齢だけでなく、鼻の病気などで嗅覚の機能が低下すると味覚障害になりやすくなります。風邪を引いた時などに味覚障害になることが多くありますが、これも嗅覚の機能低下が原因です。

薬の副作用によるもの

薬によっては副作用で味覚障害が起きることがあります。

病気の合併症によるもの

鉄分が不足する貧血を始め、消化器疾患や糖尿病、甲状腺疾患などの合併症で味覚障害になることがあります。特に糖尿病は合併症で神経に障害がでることがあり、味覚障害の原因につながることが考えられます。

味覚障害の診断方法

味覚障害かどうかは、服薬している薬や病気の確認といった問診に加え、口腔内や舌などを実際に診てもらったり、血液検査や尿検査で亜鉛不足はないかどうか数値を調べ、また肝機能や腎機能が低下していないかどうかを調べることで判断します。また味覚検査をあわせて行うこともあります。

味覚障害による弊害

味覚障害は食事を楽しめないというだけでなく、食事が進まなくなって栄養不足に陥ったり、味付けができず塩分や糖分を過剰に摂取してしまうことで他の病気を引き起こす原因となることもあります。

味覚障害を治す・予防するには亜鉛を摂取しよう

味覚障害が起きている原因が分かればその原因を取り除くことが必要ですが、味覚障害を起こさないためにも亜鉛を多く含む食品を積極的に摂取することも必要です。亜鉛は牛肉やレバー、牡蠣などの魚介類、キノコ類、海藻類、乳製品に多く含まれています。また唾液をしっかり出すことも必要なので、食事の際にはしっかり水分を摂ることも心がけるようにしましょう。