メタボを予防しよう、と病院のポスターなどでよく見かけるけれど、「太った人にしか関係のないもの」と考えていないでしょうか。また病院で「メタボの可能性があります」といわれても病気なのかよく分からずそのままにしていないでしょうか。メタボは40歳以上の男性の2人に1人、女性は5人に1人がメタボ、またその予備軍だというデータがあります。決して他人事ではないメタボについて、詳しくご紹介します。

メタボリックシンドロームとは「生活習慣病の前段階の状態」のこと

メタボリックシンドロームとは、英語で「内臓脂肪症候群」といいます。内臓脂肪が蓄積した内臓肥満に加え、高血圧や高血糖、善玉コレステロール値が低い、中性脂肪が高いといった数値が2つ以上重なっている状態を指していわれます。生活習慣病になる一歩手前の状態であり、そのまま放置していると命に関わる病気に進行する可能性があります。そうならないために、「現在メタボである」と診断し、早めの治療をする必要があり2005年にメタボの基準が定められました。

メタボの基準

メタボリックシンドロームの判断基準は以下の通りです。

腹囲

おへその場所からお腹周りを計測します。男性は85cm以上、女性は90cm以上でメタボの可能性があります。

血液検査による脂質異常・高血糖の診断

空腹時の採血で、中性脂肪150mg/dl以上、HDL(善玉)コレステロールが40mg/dl未満の場合は脂質異常、そして血糖値が110mg/dl以上だと高血糖と診断されます。

血圧

血圧が最高血圧130mmHg以上、最低血圧85mmHg以上のどちらか、もしくは両方に当てはまる場合は高血圧と診断されます。

40歳以上の人を対象としたメタボ健診を積極的に受けよう

健康診断では、トータルの健康状態を検査します。ですがメタボの可能性が高くなる40歳以上の人に対しては、メタボ予防を中心としたメタボ健診を受けることもできます。

メタボ健診における「支援」

メタボの可能性がある、もしくはその予備軍と診断された場合、保健指導を受けることになります。メタボの基準となる腹囲や高血圧、高血糖、脂質異常に加え、BMI値(身長と体重から算出される肥満度)が25以上の人、また喫煙習慣があるといった人も指導対象としてカウントされることになります。体重を落とす、禁煙するだけでもメタボの進行を抑えることにつながりますので、メタボと判断されても諦めず生活改善していくことが大切です。

なぜメタボが危険といわれるのか

生活習慣病の一歩手前といわれるメタボの状態が、なぜ危険視されているのかを詳しく見ていきましょう。

糖尿病になるリスクが高まる

高血糖が続き、血管を痛める原因となる糖尿病は、血管が詰まって心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすこともある生活習慣病です。メタボの人は、糖尿病2型になるリスクがそうでない人の3倍あるといわれています。

動脈硬化の進行が早くなる

メタボの状態では、まだ治療が必要でないことがほとんどのため、放置してしまう人も少なくありません。しかし高血圧や高血糖の状態を放置していると血液がどろどろになり動脈硬化の進行がメタボでない人よりもずっと早く、若い人であっても心筋梗塞や脳梗塞を発症するきっかけになることが分かっています。

メタボリックシンドロームにならないために

メタボリックシンドロームと診断されることのないよう、バランスの取れた食事、毎日の運動習慣、規則正しい生活、ストレスを溜めることのない暮らしをすることが必要です。もしメタボと診断されたとしても、早めに生活を見直して改善すれば、進行を抑えることは十分に可能です。生活習慣病になってからでは取り返しがつかないということを忘れないようにしましょう。