健康に気を遣う人が増えてきていますが、実際にどういったことが原因で病気になるのか、どういったことに注意すればいいのかよく分からないという人も少なくありません。かつては「成人病」と呼ばれ、成人になってからかかることが多いとされてきた生活習慣に起因する病気は、1996年に「生活習慣病」と名称が変更されています。これは成人だけでなく子供など若い世代にも同じような原因による病気が増えてきていたことが大きな理由です。感染症による病気が少なくなっている現代社会において、生活習慣病の知識を正しく持っておくことが必要とされています。そこで今記事では生活習慣病の詳しい内容とその原因について詳しくご紹介します。

生活習慣病とは生活習慣が原因でかかる病気の総称

日常における食事、運動、睡眠、ストレス、そして喫煙や飲酒といった習慣が原因で起きるのが生活習慣病です。生活習慣病は、他の病気のように遺伝や外部の原因(病原菌や有害物質など)で発症する病気とは違います。多くの病気は、通常早期に発見し治療を行うことで悪化を防ぐことがほとんどです。ただ、生活習慣病の場合は発症しても自覚症状がないことが多く、悪化してから発見されることが少なくありません。そのため生活習慣病は「サイレントキラー」とも呼ばれています。また生活習慣病は成人だけでなく若い世代でもかかる人が増えており、生活の見直しが早期に必要とされていることから、国をあげて対策が進められています。

生活習慣病の代表的な3つの病気と4つの危険因子

日本人の死因の代表格は、がん、心臓病、肺炎、そして脳卒中です。中でもがんと心臓病、脳卒中は3大生活習慣病と呼ばれています。これらの病気を引き起こす危険因子として、以下の4つの生活習慣病が指摘されています。

1.動脈硬化症

血管が硬くなることで、スムーズに血液が流れなくなったり血管が詰まったりするのが動脈硬化症です。食生活の乱れによる肥満、ストレス、喫煙などが原因とされています。高血圧や糖尿病の人は動脈硬化症のリスクが高く、放置していると心臓に負担がかかるほか、足のしびれが起きたりします。心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因でもあります。

2.糖尿病

食生活の乱れや運動不足から、体で必要とされる糖を分解するインスリンが不足したり、過剰な糖が血管内にあり高血糖の状態が続くのが糖尿病です。膵臓の機能が元々悪い人もいますが、糖尿病の患者の95%は、生活習慣が原因だとされています。血管が痛んだり詰まったりすることで引き起こされる合併症により、透析が必要になったり失明することもあります。

3.高血圧

塩分の取りすぎやストレス、運動不足などで慢性的に血圧が高い状態が続くのが高血圧です。高血圧を放置すると、動脈硬化を悪化させることになります。脳卒中の原因として高血圧の影響が大きいことが明らかになっています。このほか、心筋梗塞や慢性腎臓病も高血圧が影響しており、死亡のリスクが高まるとされています。

4.脂質異常症

以前は高脂血症という名称だったのが脂質異常症です。血液中の善玉コレステロールが低く、中性脂肪やコレステロールの値が高い状態です。食生活の乱れや運動不足、ストレスや喫煙、飲酒などが関係しています。さらにメタボリックシンドロームと呼ばれる、見た目に太って見えなくても、内臓に脂肪がたまる内蔵脂肪型肥満は善玉コレステロールが特に少ないため危険とされています。他の生活習慣病に比べ、「数値が高い」という判断材料しかないため、放置する人が多いとされています。ただ、対処せず放置していると、動脈硬化を悪化させてしまい死亡リスクが高くなる点に注意が必要です。