高血糖の状態が続くことで、血管が詰まりやすくなるなど体に様々な悪影響を与える糖尿病。予防することが一番ですが、糖尿病になってしまったとしても血糖値をコントロールすれば健康な人と変わらない生活を送ることは可能です。ただ、治療中に注意したいのが、血糖値が下がりすぎる「低血糖」になることです。そこで「低血糖」になると何がいけないのか、また起きる原因や症状などについて詳しくご紹介します。

低血糖とは血糖値が低くなりすぎる状態のこと

低血糖とは、血糖値が70mg/dlより低くなっていることを指していいます。正常値は80mg/dlから99mg/dlですが、糖尿病の人は126mg/dl以上の数値であるため、正常値に落とす必要があります。ただ、治療によって血糖値が急激に下がってしまうことがあり、そのままにしておくと意識障害など深刻な事態を引き起こしてしまいかねません。また、低血糖の状態になっても全く症状が出ないこともあり、そのまま悪化してしまうこともあるため注意が必要です。

低血糖が起きる原因

低血糖が起きる原因としては以下のことが考えられます。

糖尿病の薬によるもの

血糖値を下げる薬は、現時点の症状や血糖値などにより種類や量に違いがあります。そのため、薬を間違えて飲んだり飲む量を間違えたりすると血糖値が下がってしまいます。またインスリン注射をしている場合、注射に慣れていなかったりすると量を間違えてしまうことが起きます。また薬を変えたばかりの時や、薬の量を変更した場合などにも注意が必要です。

食事の量が不十分だった

糖尿病では、薬の服用に加えて食事の見直しも必要となります。ただ、食事の時間が不規則だったり、制限をしなければと考えて極端に量を減らしたりすると、体に使われるエネルギーとして必要な糖が不足してしまい、低血糖になることがあります。

激しい運動をしたばかり、また前日に運動をした

糖尿病の治療では、運動療法も行います。理想としては毎日定期的に運動をしていくのが一番ですが、仕事などで忙しく休日にまとめて運動をしたりするとその反動で糖が不足して血糖値が下がりすぎることがあります。

飲酒の量が多かった

糖尿病であってもアルコールの摂取は適量なら問題はありません。ただ、いつもより飲み過ぎた場合などは低血糖になることがあります。

入浴したあと

食事の量が少なかったり、食事の前に入浴したりすることで低血糖になることがあります。

低血糖で起きる症状

低血糖の症状は、血糖値の違いで3段階に分けられます。

第一段階・血糖値が約70mg/dl以下

汗をかいたり、脈が速くなったりします。また顔色が悪くなり、夜中に目が覚めたりします。手や指が震えることもあります。

第二段階・血糖値が約50mg/dl前後

頭が痛くなったり、目がかすんだりします。集中力が落ち、あくびが繰り返し出たりします。

第三段階・50mg/dl以下

異常行動が起きたり、体が痙攣します。また突然意識を失い、倒れたり昏睡状態に陥ることもあります。

寝ている時に低血糖になることもある

起きている時には高血糖の状態なのに、寝ている時には低血糖の症状が出る人もいます。この場合、低血糖になっているという自覚症状がないため、実際には血糖値が激しく上下していることになり体に大きな負担がかかってしまいます。そのため気がつかないうちに血糖値が50mg/dl以下になっていて、昏睡状態に陥ったりするため注意が必要です。

低血糖は普段から予防が必要

低血糖は気がつかずになることも多いため、普段の生活から低血糖への備えを十分にしておきましょう。ブドウ糖やブドウ糖を含んでいる食品(ラムネやはちみつ、バナナなど)を常備しておくといいでしょう。また低血糖になってしまった場合は、同じような状況にならないよう心がけることも必要です。