日本では、夏の間日中35度を超えることも珍しくなくなってきています。ただ一方で、熱中症になる人も増えており、対策が必要です。特に高齢者や子供などは、暑さに対する耐性が低いため、熱中症には注意が必要といわれています。それと同時に、熱中症になりやすいリスクがある人の中に糖尿病がある人が多いことも調査で明らかになっています。そこでなぜ糖尿病の人は熱中症のリスクが高いのか、その理由と対策について詳しくご紹介します。

熱中症は外よりも室内の方が深刻

熱中症とは、汗をかくことで体内の水分や塩分が失われたり、体温調節が上手にできなくなることで、めまいや頭痛を起こしたり意識を失ったりする症状のことです。ただ、熱中症は屋外でスポーツをしている人がなりやすいイメージがありますが、実際には高温や高い湿度で発症することが多く、屋内でも熱中症のリスクは高いといえます。また体調不良や薬の副作用、肥満なども熱中症の原因となることが分かっており、これらに当てはまる糖尿病の患者は熱中症対策をすることが必要とされています。

糖尿病の人が熱中症になりやすい4つの理由

糖尿病の人は熱中症になりやすいとされています。その理由として以下の3つが挙げられます。

1.汗腺の働きが悪くなるため

糖尿病になると血液中の血糖が多くなり血管や神経にダメージを与えます。そのため汗がかきにくくなり体温が上昇しやすくなります。そのため体温調整がうまくできず熱中症になってしまうのです。また神経にダメージを受けると、特に足先の感覚がなくなってしまうため、暑さを感じづらくなってしまい、体温が上昇していることに気がつかず熱中症になることがあります。

2.血糖のため脱水症状になることが多い

血液中に糖が多い高血糖の状態になると、体は糖を体外に排出しようとします。そのため多尿になってしまいます。その結果体内に必要な水分まで排出してしまうことになり、脱水症状を引き起こし熱中症となってしまいます。

3.糖尿病の治療薬が原因になることもある

糖尿病は血糖値が高い状態が続くため、治療のために尿から糖を排出する働きを促進させる薬を使うことがあります。この薬が原因で脱水症状を引き起こすこともあります。

4.熱中症予防の水分補給が逆効果になることもある

室内で熱中症予防のため外出せず、水分補給をしすぎた結果、熱中症になることもあります。血糖値のコントロールをしていれば、糖尿病であっても高血糖の状態になることはほぼありません。ですが暑さを理由に引きこもり、運動不足の状態で水分補給に糖分の多い飲み物を飲み過ぎた結果、血糖値が一気に上がり、多尿を引き起こして脱水症状を起こすこともあります。

糖尿病の人は熱中症対策をしっかりしながら治療を行う必要がある

糖尿病の人は、健康な人よりも熱中症になるリスクが高いということを自覚した上で行動することが必要です。

日中の運動は避ける

運動療法は続けることが必要なので、夏だけ休むということはおすすめしません。できれば涼しい早朝や夕方以降にするようにしましょう。

水分補給は糖分の少ないものを選ぶ

水分補給はいつもよりまめにすることを心がけましょう。糖分の多い飲み物を飲むことは控えるようにしましょう。

血流の多い場所を冷やす

汗がなかなか出ないことも多いため、首の付け根や手のひらなどを保冷剤で冷やすことも必要です。

室内にいるときも温度と湿度管理をする

室内で熱中症にならないよう、小まめに温度と湿度をチェックするようにしましょう。体調がすぐれないときには、無理をせず休む、エアコンを活用することも必要です。