糖尿病は初期症状があまりないことから、合併症を発症してから分かることも少なくありません。日本人は糖尿病になりやすく、年齢や男女に限らず予備軍も多くいます。また思ってもみなかった体の変化から、糖尿病が分かることもあります。今記事では、糖尿病に多いとされる肌の乾燥について、その原因についても詳しくご紹介します。

糖尿病と皮膚のトラブル

血液中の糖が多く、上手く排出できないことから糖尿病は進行します。糖尿病になる原因としては、遺伝や体質で膵臓から分泌されるインスリンが少ないといったものもありますが、多くは食生活の乱れや運動不足などの生活習慣によるものです。また血液中の糖が体に上手く吸収されず、血管を傷つけても、すぐには症状が現れません。ただし、体のあちこちに不調が現れることもあり、そこから糖尿病が分かることもあります。特に多いのが皮膚のトラブルで、以下のようなものがあります。

乾燥肌によるかゆみやひび割れ

冬になり空気が乾燥すると多くなるのが乾燥肌です。また、加齢などで体内の水分が不足すると乾燥肌になりやすいのですが、糖尿病の初期症状でもよく見られます。乾燥肌になるとかゆみが起きたり、元々水分が少ないかかとや肘などがひび割れたりします。無意識にかきむしってしまうことも多く、そこから雑菌が入るなどして悪化してしまいます。

魚の目やタコ、イボ

足の裏など同じ場所に繰り返し力がかかることでできるのが、魚の目やタコです。また足以外にも指などにもできるのがタコです。またこれらと区別がつかず、皮膚科で診てもらったらイボだったということもあります。イボは魚の目やタコと違い、感染性の皮膚病です。特に乾燥肌や肌荒れなど肌の免疫が低下しているとイボに感染しやすく、かいたりすると他の場所にもうつって増えてしまいます。糖尿病の人はイボができやすいことが分かっています。

巻き爪

爪が皮膚に食い込む巻き爪は、感染症や化膿の原因となります。巻き爪は爪の切り方が悪かったり、普段の姿勢、歩き方などが原因で何度も繰り返してしまうことが多い症状です。特に糖尿病の患者の場合、巻き爪に痛みで気がつかず悪化してしまうことが少なくありません。

むくみや変色

足のむくみや変色なども糖尿病の初期に起こりやすい皮膚のトラブルです。糖尿病は血管が詰まりやすくなることから、特に足の先など末端の神経に障害が出やすくなります。足の感覚が鈍くなったといった自覚症状があれば、早めに検査をする必要があります。

糖尿病で皮膚トラブルが起きる原因

糖尿病の初期症状では、特に肌のトラブルが多いとされています。その理由を詳しく見ていきましょう。

多尿による水分不足

血液中の糖が増える高血糖の状態になると、糖を体外に排出しようとする体の働きで、多尿になります。そうすると体内の水分が減って脱水症状になり、皮膚の乾燥が進んでしまいます。また水分補給で糖分の多い飲み物を摂取した場合も、一時的に高血糖となり同じように多尿になってしまいます。

抵抗力の低下

高血糖の状態が続くと、血管が詰まりやすくなります。そのため体に備わっている抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。また乾燥した肌をかきむしって小さな傷ができるとそこから雑菌が入りやすく、抵抗力が落ちた状態のままだと皮膚病が悪化します。

神経の障害

血流が悪くなると、血管と並行して走っている神経にも影響を及ぼします。そのため指や足などの末端の感覚が鈍くなり、外部からの衝撃で怪我をしたり、自分の爪で皮膚を傷つけてしまったりしても痛みを感じず、悪化させてしまうことになります。